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理事長室

第7回 臨時総代会ごあいさつ

 長かった梅雨もようやく明けましたが、本土地改良区の水瓶である笹ヶ峰ダム・野尻湖は雨天続きのため、現在では満水位状態で、今後水の心配はありませんが、7月の天候不順で、上越の日照時間は平年の39%との発表があり、米の収量に悪影響があることは避けられない状況ともいわれており、土地改良区としても憂慮しているところであります。
 暦の上では、今日は立秋で、残暑は当分続くことでしょうが、夜な夜な鈴虫も鳴き日一日と涼しさが加わり、丹精した水稲も頭をたれ、収穫の秋がやってまいります。

 本日はご案内いたしました第7回臨時総代会開催にあたり、総代の皆様には、ご多忙のところご出席していただき有り難うございます。また公務ご多端の中、上越振興局農林振興部上石副部長様を来賓としてお迎えし、開催できますことに対し、ここに深く感謝申し上げます。

改革元年の位置づけと中間検証
 合併後2ヶ年余経過しましたが、厳しい財政状況下において、当初5ヶ年間は現状維持との協議がかわされましたが、その後の社会情勢の変化は誠に厳しい限りであり、百年に一度といわれる世界的不況が吹き荒れ、報道機関のデータによる昨年度の農家家計実態調査によると、農業・野外収入などを合わせて1世帯当たり平均収入金額は対前年比11%減との結果で、殊更、農業の先行きに暗雲が垂れ込み、厳しい右肩下がりの状態が当分続くことが予想されます。
 このため合併前に検討した財政計画等の見直しを行うことにより、土地改良区財政の健全性を確保し、土地改良区の適正な組織運営基盤の強化を図ることを目的に、理事会の諮問機関として経営検討委員会を設置し、昨年度4回の検討を行いました。その答申は平成21年度予算及び業務体制に反映されています。
 そして、実施後の中間検証として、業務体制の見直しについては、一部担当課に目的達成までに少し時間がかかるものも見受けられますが、総体的に効率的な運営がなされておると評価いたします。特筆されるものとして、昨年度、職員・嘱託職員・臨時職員を合わせて39名体制が、今年度から臨時職員の雇用は削除し派遣職員を含めて33名体制に切り替え、中でも派遣職員は必要なときだけ雇用することで誠に合理的な事務運営がなされています。
 また、今までの時間外勤務手当についても、業務命令や業務分担の見直しを行うとともに、休日勤務の原則代休制を徹底した結果、大幅な削減が図られました。
 その他、予算編成体制の見直し・新たな賦課金の徴収による財政調整基金からの取崩しの抑制と公平性の確保、また今年度は希望者ありませんでしたが、早期退職希望退職制度・勧奨退職制度も今後引き続き取り組む所存であります。
 去る7月21日に第5回経営検討委員会を開きました。主たる検討事項として、職員の年齢構成が50代と30代に集中しており、ここ10年来、新規職員の採用をしていないことから、新規職員採用も視野に入れたり、厳しい農家経済状況から、組合員から職員給与水準の問い合わせもあり、他の農業団体の給与を参考にして改善策を講じなくてはならない等、今後の課題が提起され、引き続き検討していくこととしています。
 理事者としては、職員に対し、より一層の緊張感と意識改革を求めるところであります。

ほ場整備の促進
 厳しい状況下での、今年度管内の工事発注予定でありますが、事業実施地区は8地区あり、面工事・ため池工事・暗渠工事と、全地区完了までには現在の予算状況からして、先の見えない状態であります。今年度、既に発注済みの工事は、10件で6億9000万円余りが発注され、今後の予定として、9件が、遅くとも9月までに発注の予定です。
 中でも三和南部・中江北部第2地区は面積も大きいことから、早期に完成するように、上級機関に飽きられる程足を運び、予算付けを陳情します。
 近隣の土地改良区のように整備が済み維持管理体制が確立することを願うものであります。

農業用水水源地域保全対策事業の計画変更
 平成19年度に補助事業により、流域マップ地形模型を作成した結果、7月末で1000人余の見学者を迎え、農業用施設の重要性について、多数の人から認識していただきました。ことに小学校の総合学習の一環として現地学習会を行い、大変な好評をいただいております。
 しかし、ことある毎に小学校の児童やそれを教える先生から、「今の時代と違う人力で昔は用水路を掘ったり、隧道を掘って引水した昔の人の工夫や苦労が知りたい」という質問が多く寄せられたことから、国・県に要望し、平成22年度の補助事業で新たな模型製作が決定となりました。ただし、当改良区での負担は、一切ないことをお繋ぎしておきます。
 この模型は、上江用水は山の裾野を通過するという物理的な要素もあって隧道を掘って下流に流下せねばならないという難工事が余儀なくされ、妙高市川上集落の民家の縁の下を穿った延長220m、清里区岡嶺の三丈掘の延長660mが全国的にも有名であり、そんな先人の苦労の結晶をジオラマにして展示する計画であります。その完成によって、更に多数の見学者が来られることを期待しています。

信濃町赤川地区廃棄物最終処分場問題
 この問題が提起されたのは昨年8月で、その後1年になろうとしています。その後、長野県への設置反対の陳情や11月には上越地域農業水産団体連絡協議会を結成し、反対意思表示。地質学者による学習会での一般市民へのPRを経て、計画が地形・地質から危険地であることが認識されています。最近では当該地である信濃町でも行政を含めての連絡協議会が結成されようとしております。
 言わんとする趣旨は、国民生活に欠くことができない大切な施設であることは十分承知はしておりますが、母なる川「関川」が流れる急峻な山間地に設置する計画には断固反対します。近く、長野県側と本県側とで設置阻止の大決起集会を計画中であり、一般組合員にも多く参加者を募る予定であります。
 設置場所は40mもの火山灰が堆積した急峻極まる山頂付近で、集中豪雨による鉄砲水が災いした山口県が良い例で、ある日突然の豪雨が来れば関川に流出することは間違いありません。
 歴史の紐をとけば、先人小栗美作翁が苗名の滝をさらにに登り野尻湖に水源を求めたお蔭で、我々農民は、今日の米づくりに誇りをもって精進しておるわけです。美作翁が敏腕であったためその妬みを買い、非業な切腹から来年度は330回忌を迎えようとしています。
 その当該地、赤川で実施されたとしたら美作翁に恨まれる結果にもなり兼ねないと危惧したり、今後、将来において子々孫々に恨まれることで大きな禍根を残す結果になってしまいます。一業者の生きんがための計画に決して安易な妥協はできません。一念岩をも通すという諺の如く強力な信念でぶれることなく対応する所存であり、皆様の絶大なるご協力を切に願うものであります。

関川地区土地改良区連合の賦課金について
 以前からも度あることにお繋ぎしてあります地域整備方向調査「関川Ⅱ期地区」であります。平成7年の集中豪雨でのダム内の土砂堆積・観測機器更新・小水力発電など課題が沢山ありますが、堆積土砂の排除は国の事業で全額国県負担ですが、後者2件は地元の負担が相応にかかります。関川連合としても経営検討委員会を立ち上げ綿密な検討を重ねた結果、基本財産積立金は取り崩さないという結論に達しました。この決定により、平成22年度からは、組合員の皆様より新たに賦課金をいただかねば関川連合が運営していけない状態であります。賦課単価などの詳細については、今後検討をしなければなりませんが、いずれPR版を受益者各位に配布してご理解をいただきたいと思っています。前述のように厳しい農業情勢の中での負担増については、私自身としても心穏やかではありませんが、何分のご協力を願うものであります。

各種の受賞
 今年に入って県土連・県農村技術連盟・国土交通省など上級機関・団体から、関川水系土地改良区の様々な活動に対し、功績が認められ受賞する名誉ある機会がありました。主に、土地改良区が行っている21創造運動、いわゆる土地改良区のPR活動の功績と、客水地区の皆様との合意について評価され受賞となったものであります。ことに客水地区との合意については、客水地区の皆様と土地改良区がお互いに歩み寄り合意にいたったことから、客水地区の皆様とともに受賞したものと自分なりに解釈しております。
 これらの受賞については、一重に組合員の皆様のご理解・ご協力の賜物であります。関川水系土地改良区の誉でもあり、理事長室に掲示してありますので、お気楽に見学にいらして下さい。

 さて最後になりましたが、平成20年度収支決算と平成21年度補正予算案を提案しました。繰越金も20億2400万円余となりましたが、合併直後の平成19年度との比較では3300万円余の減額であります。現在行っている改革での効果が必ず数字で表現できるものと信じているところであります。慎重審議をいただき、原案通り議決・承認下さいますことをお願いいたし、一言の挨拶といたします。

  平成21年8月7日

関川水系土地改良区
理事長 太 田 三 男