第8回 通常総代会ごあいさつ
はじめに
久々の大雪に見舞われた今冬でありましたが、自然の摂理は有り難いもので、三寒四温の繰り返しで、日増しに陽春が近づこうとしています。そして我々農業を営む者として命にも勝る大切な用水源である笹ヶ峰ダム付近の積雪量は、昨日現在208㌢で、昨年とほぼ同じ状況です。このまま推移するとして、代かき・灌漑用水には心配がないのではなかろうかと判断いたします。
本日は第8回総代会の開催に当たり、総代各位におかれましては春作業の準備でご多忙のところご出席いただき誠にありがとうございます。また、年度末のご多忙ご多端の中、上越地域振興局農林振興部上石副部長様を迎え、開催できますことに対して深甚なる謝意を申し上げます。
激減した農業農村整備事業予算
さて既に、新聞等でご承知のとおり、政権交代による農業農村整備事業予算前年比36.9%という大幅な削減は、私たち土地改良区関係者にとって大きな衝撃でありました。
昨年10月の概算要求での農業農村整備事業費15%カットや、11月の事業仕分による事業の廃止・予算削減に危機感をいだき、筒井衆議院議員はじめ山田副大臣・齋藤農林省農村振興局次長・佐々木政務官に陳情を行いました。そして、これ以上の削減はないと回答をいただいた矢先、12月16日に小沢幹事長の土地改良事業費半減の要望が出され、愕然と致しました。
現場の未着工区域の組合員からは、ほ場整備事業の長工期化によって、整備後の効果を夢に見ていたが、視界不透明な現状から、事業の仲間から外れたいという切実な声も聞こえてくる実態の中で、土地改良事業費半減では現場が持たないということから、関川水系土地改良区では激減緩和・予算確保の陳情を行ってきました。
陳情は、関川水系土地改良区だけでなく、私が理事を務める新潟県土地改良事業団体連合会や上越農地協議会とともに、民主党・北陸農政局・新潟県などの関係機関に精力的に要望してまいりました。中でも民主党小沢幹事長に直接面談し、地域の切実な実態を隈なく報告した結果、必要なものはやらねばならないという確約をいただいたことは何よりの収穫であったと感じています。
幸い、新潟県当局の格別なる配慮をいただき、新潟県農地部当初予算案は対前年比78.2%が確保されましたが、引き続き、政府与党に補正予算を要望して、最低でも昨年と同額の結果となるように汗したいと思っています。
戸別補償制度と農業農村整備事業は車の両輪であることはもちろんですが、来たる平成23年度には本格的な戸別補償制度・子供手当が始まれば、このまま推移したとして、ますます農業農村整備予算が削減されることが予想されますので、農業農村整備事業が農業生産には必要不可欠なことを訴え、今から来年度以降の予算確保の要望も行っていくつもりであります。
関川水系土地改良区の新年度予算と財政
平成21年度は改革元年と位置づけての出発でありました。本年度も引き続き業務改善を行うとともに、厳しい農業状勢の中、持続的な土地改良区を目指していくことと致します。しかし、前述のとおり、農業農村整備事業費の削減により、補助金や受託収入が減額となることは確実で、当土地改良区もその影響を、もろに被らねばならない事態となりました。中でも著しいのは県土連からの換地業務受託収入が例年約2,700万円余であったものが、今年度は全く見通しが立たず、当初予算ではその1割以下で予算化せざるを得ない状況であります。また関川地区土地改良区連合にかかる経費では、既に広報でお知らせしていますが、関川連合の経常賦課金が1,450万円から1,990万円に、約540万円増額となったこと、更に笹ヶ峰ダム維持管理事業の負担金に対する補助金1,500万円が廃止となったことから、約2,000万円の支出増となりました。
これらの状況から、平成22年度予算編成に当たり、人件費を含めたすべての項目で支出の抑制をするよう指示いたしました。
一般会計予算は、3億500万余と対前年比60.8%となりました。内容的には、人件費の削減として1,500万円弱の減額。事務的経費もすべての項目で抑制し、10%削減を基本としました。また、土地改良区の広報誌は、業務・土地改良事業や県・中央の情報をお知らせする重要なものですが、その発行回数を2回に減らすことといたました。更に、広報の配布や様々なお知らせを、町内会長などの連絡員の皆様にお願いしているところでありますが、厳しい財政事情の折、連絡員手当を前年度の50%とさせていただきました。
一方、川上権現社例祭、河波良神社例祭、上江北辰神社例祭、宇賀神社代参などの水源擁護の歴史的な行事などは経費削減をしつつも、中江用水開削の先達と詠われた小栗美作翁が非業の最期をとげ切腹されて没後、今年は330回忌の巡り合わせの年であり、簡素の中にも厳粛な法要を行いたいと考えています。隣国中国の古い言葉に「水を飲むとき井戸を掘った人の恩を忘れるな」とありますが、いかに時代が変わろうと先人の遺徳を敬わなくてはなりません。
そして、一般会計・ほ場整備事業特別会計への不足財源は、6,500万円余となり、財政調整基金積立金を取り崩すことになります。関川連合関係の支出2,000万円がなければ、取崩しが4,500万円となります。平成21年度の財政調整基金からの取崩しが5,200万円であったことと比較しますと、厳しい財政状況の中、節減に努めた新年度予算となったことをご理解いただきたいと存じます。
さて、その財政調整基金も21年度末の残高見込みが5億900万円余です。今のような状態が続けば、この基金は10年も持たない大変苦しい財政事情であります。1俵2万円もしていた米価も今ではその7割程度の状況、また合併時の約束もあり、直ちに経常賦課金の値上げをお願いするわけにはいきません。しかし、土地改良区の新たな維持管理計画、将来の事業計画、財政調整基金の取崩し見込み、そしてそれらを踏まえた適正な職員数等を総合的に検討した上で、近い将来、経常賦課金の値上げをお願いしなければならないと考えています。
国営土地改良事業「関川二期地区」
国営事業で造成された笹ヶ峰ダムなどの基幹水利施設については、地域整備方向検討調査により機能診断や事業化に向けての対策の検討を行ってきました。そして、昨年10月に円滑な事業推進を図るため、関係機関・団体による「国営土地改良事業関川二期地区連絡協議会」が設立されました。協議会の中では、22年7月ごろを目途に、新潟県から23年度地区調査申請を上げてもらい、23~24年度で地区調査を実施、25~26年度の2か年で実施設計、5年後の27年度には工事着手というスケジュールを確認したところであります。また工事着手は、緊急性の高い観測機器の更新から手をつけ、国営施設の更新や維持管理費軽減を目的とする笹ヶ峰ダムの用水を利用した小水力発電事業も推進することとしています。
なお、先日、小水力発電推進協議会が開催され、年間有効発電量など県土連による調査結果が発表され、引き続き事業化に向けた推進を行っていくこととなっています。CO2削減が盛んに叫ばれている昨今、環境に優しく維持管理費軽減ができる本事業が、1年も早く着工できることを期待しております。ちなみに事業化となれば、県内では4例目の事業となります。
平成22年度の重点課題
はじめに、維持管理計画書の作成です。合併協議会の中で、5年間は現状の維持管理を継承するとしてきました。しかし国・県の指導もあり、早急に関川水系土地改良区としての維持管理計画を作成する必要が生じてきました。これは土地改良区の最も重要となる計画書で、施設台帳の整理、用水・排水の計画、更に維持管理にかかる費用まですべて記載するというものです。最終的には、組合員(受益者)の同意と総代会の議決が必要となり、新潟県知事の認可を受けることになります。
次に、土地改良区の受益地や賦課の基礎となる管内の一筆土地台帳の整理です。土地改良区では、組合員としての登録があれば賦課はできますが、近年は農地の流動化が進み耕作地の移動が頻繁に行われるようになりました。これらの状況から、土地改良区としても所有者・耕作者を把握するとともに、費用を負担する組合員を今一度確認していくこととします。これらのデータは、将来行われる国営事業の同意徴収にも必要となりますし、役員・総代の定数の算出基礎ともなりますので、しっかりとした整理をしていきたいと考えています。
最後に、未収賦課金の対応であります。合併前各単区の未納賦課金を含めた平成20年度までの過年度未納賦課金の総額が336万円あります。徴収率は99%の数字を残していますが、取扱金額が大きいため、多額の未納が残っている現状であります。農業状勢が一変した現下のことは十分承知はしておりますが、まじめに納入されておられる組合員に対して、正直者が馬鹿を見るようなことがないように、事務局一体となり、特に管理職の職員には、業務に関係なく過年度未収賦課金の徴収を行うように命じる予定です。更に、悪質な未納者に対しては、財産の差押え等の法的措置をとることも考えています。総代の皆様にも情報提供などをお願いする場合もあると思いますが、よろしくご協力くださいますようお願いいたします。
総代・役員の改選
早いもので新設合併から丸4年たち、今年は総代選挙が10月、役員選挙が11月に行われます。事業予算削減で長工期化する中、役員になりたくないという言葉も聞こえてきます。しかし、こんな時こそ、組合員とのパイプ役となり、地域農業の発展に向けたリーダーが必要であると思います。是非とも、関川水系土地改良区のために奮起を期待いたします。
おわりに
最後になりましたが、平成21年度補正予算、平成22年度当初予算、新年度事業計画など多数の案件がございますが、慎重審議をいただき、原案通り議決・承認いただくことをお願いいたし挨拶と致します。
平成22年3月26日
関川水系土地改良区
理事長 太田 三男