関川二期地区地方整備報告検討調査
関川用水 2009/05/01
笹ヶ峰ダム 機能低下で将来に不安
~「関川二期地区」地域整備方向検討調査(平成20年度報告)まとまる~
関川水系地域のダム・頭首工・用水路等の基幹的な農業水利施設は、国営関川農業水利業により整備され、地域の水田約6,000haに農業用水をかんがいしています。しかしながら、営事業完了後25年余り経過し、笹ヶ峰ダムの貯水池内に計画堆砂量を上回る堆砂が生じていことをはじめとして、同ダムの附帯施設、用水管理施設等の老朽化による機能低下が懸念されいます。これらの課題を解決するため、平成20年度より国直轄の地域整備方向検討調査が実されているところです。
関川水系土地改良区では、この結果を踏まえて、関川地区土地改良区連合とともに、事業の検討、推進活動を行っていくこととしています。
以下、平成20年度の調査結果について紹介します。
平成20年度の調査報告(概要)
【現状と課題】
- 笹ヶ峰ダムの堆砂状況
平成7年7月11日の豪雨により、計画堆砂量1,400千m3を上回る堆砂量。平成20年には約1,700千m3の堆砂状況。
今後、堆砂が進行すると、有効貯水量の減少だけでなく、ダムの安全性にも影響を及ぼす恐れ。
堆砂対策に当たっては、水需要予測を踏まえた今後の水利用及び水利権のあり方、環境対策を踏まえた検討が必要。 - 笹ヶ峰ダムの老朽化
笹ヶ峰ダム供用開始後27年余りが経過し、土木構造物及び機械設備の老朽化が進行。
特に、管理機器類は耐用年数を大きく経過し、修理時の部品の調達が極めて困難。またダム管理所と中央管理所を結ぶ回線にも一部不具合が発生。 - 取水施設の老朽化
国営事業完了後25年以上が経過し、子安頭首工・大道子安幹線用水路・稲荷中江幹線用水路の老朽化が進行。 - 水管理施設の老朽化
水管理施設を昭和57年に導入以降、年々故障回数が増加傾向にある。部品の大半は製造中止となっているため、修理時の部品の入手が困難。
中央管理所の老朽化やシステム・管理機器の陳腐化に加え、土地改良区の合併により事務所と中央管理所が離れたことにより、管理に労力を要している状況。 - 維持管理費の増嵩
関川地区の土地改良施設にかかる電気料等の維持管理費が増嵩。
【事業構想】
- 堆砂対策
(1)堆砂予測と対策方針
計画耐用年数(60年)の到達する平成51年度の推定堆砂量2,400千m3と推定。
掘削・浚渫900千m3を除去し、貯砂施設、流路工により堆砂を340m3/年/k㎡に抑制することで、計画上の機能を回復。掘削・浚渫総量1,000千m3(対策方針)(2)堆砂対策工法の選定
現場条件に基づき、貯水池流入抑制と貯水池流入抑制から対策工法を検討の結果、貯砂ダム、流路工、掘削・浚渫を選定。(3)堆砂対策
貯砂ダム+床止め工
貯砂ダムは、ニグロ川の基礎がN値1~2と軟弱なため、真川で計画(鋼製自在枠)。
流路の浸食防止を図るため、真川、ニグロ川に床止め工を計画。
堆砂除去・浚渫
ドライ施工を基本とし、水面下の土砂は浚渫。
施工期間は気象条件と貯水位状況から9月上旬から11月中旬の2.5ヶ月。(4)土捨場候補地の概定
掘削・浚渫による900千m3、貯砂施設及び流路工での100千m3を併せた約1,000千m3を搬出。
国立公園の特別保護地区及び第1種特別地域、地すべり防止区域及び国・県指定の保安林区域を外し、ダム近傍で候補地を概定。
第1候補地 笹ヶ峰牧場 ダムからの距離 2.5km
第2候補地 国立公園山林 ダムからの距離 5.0km
第3候補地 大同原地区 ダムからの距離23.0km
第4候補地 自衛隊演習地 ダムからの距離30.8km - 施設の老朽化対策
(1)笹ヶ峰ダム
対策案 ゲート設備の補修、更新、ダム管理制御機器の全面更新(2)子安頭首工
対策案 鋼構造物の補修、更新、右岸側護岸の補修
※国営末端要件500haに満たないことから国営事業は難しい(3)稲荷中江幹線用水路、大道子安幹線用水路
対策案 摩耗対策+目地補修+ひび割れ補修
※国営末端要件500haに満たないことから国営事業は難しい(4)水管理制御施設
対策案 水利情報提供・遠方制御・監視のそれぞれの機能更新 - 維持管理費の軽減対策(小水力発電可能性の検討)
小水力発電の候補地と検討結果(候補地/評価)
中江幹線用水路第1号落差工 ×
上江幹線用水路第36号落差工 ×
右岸幹線用水路急流工(落差工) ×
笹ヶ峰ダム取水設備 ○
笹ヶ峰ダム分水槽 ○ - 概算事業費
施設更新 6,126百万円
管理システム 2,510百万円
小水力発電(笹ヶ峰ダム取水) 3,147百万円
計 17,000百万円
※事業費は、現時点での見込みです。また平成21年度で各種補助事業と照らしあわせて事業化の検討と方向性を決定する予定です。
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